ビブラート

目次



ビブラートとは、音を伸ばすとき、

その音の見かけの音高を保ちながら、

その音の特に高さを揺らすことです。

 

ビブラート(記号)

 

 

 

 

 

 

記号ではこのように示すことが出来ますが、

実際は、指定なくても

個人の表現でもってビブートは許されます。

もちろん、再現芸術であるクラシックなどでは、

歴史背景や作曲者の意図を考慮しつつ

演奏者がしっかりとコンセプトをもって判断するところではあります。

雅楽などはもっと厳格に決められているようですが。

究極の再現芸術ですね。なにせ1000年ですから。

で、そんなビブラートですから、

先のグリッサンド以上に、個性が出るところでもあります。

ビブラートをどのくらいの幅で、

どの程度のスピードでかけていくのか。

または、かけないという選択肢だってあるわけです。

一音に表情を持たせるテクニックであり、

非常に重要なテクニックと言えます。

もちろん、コードそのものにもかけることが可能です。

また、構造上、ピアノはビブラートを掛けることが出来ません。

が、人の歌を考えると、

常にビブラートはかかっているもので、

むしろ、ビブラートをコントロールするために

ビブラートをかけない練習をするほどです。

それほどまでに、

ビブラートは人間的な表現を可能にするテクニックということです。

宇宙につながるビブラート



ビブラートに関しての興味深い記述は、

それこそ、音楽家に対しての沢山のインタヴューで目にすることが出来ますが、

その中でも印象に残ったものを2つばかりご紹介します。

「普通のギタリストはエリック・クラプトンとかジェフ・ベックとかの完コピをするけど、僕は八代亜紀さんとか美空ひばりさんとかのメロディとビブラート、こぶしを分析して、ギターでコピーしたんですよ。だから僕の楽器は普通のギターよりも歌えるような楽器になったんですよ。」

by.マーティー・フリードマン



「わたしにとってビブラートとは、宇宙の波動を感じて、それを指先に伝えているようなものだね。指先から弦に向って、自分の魂を吹き込むんだ。」

by.ウリ・ジョン・ロート



もうここまでくるとちょっとスピリチュアルすぎますが。。。笑


で、何が言いたいかというと、ビブラートって

ただ弦を揺らすという行為ですが、

ミュージシャンにとってはその行為(音を揺らす行為)を

これほどまでに奥深く感じている。

そして、実際にそれほどに重要だということが

伝わってくれれば嬉しいなと。

そんなスピリチュアルなビブラートの実際の

方法についてです。

3種類のビブラート



まず、ギターにおけるビブラートには大きく分けて

3種類あります。

1、小さなチョーキングによるビブラート

2、音程を上下させるビブラート

3、円を描くビブラート



また、これら全てに影響する要素として、

1、音程の幅

2、揺らぎのスピード



があります。

音程の幅と

揺らぎのスピードは、ビブラートの変数として

押さえておくとして、

まずは、この3種類のビブラートについて考えていきましょう。

小さなチョーキングによるビブラート



これは、まずチョーキングの方法がわからないと

難しいので、次のチョーキングを読んでから

戻ってきてください。

で、チョーキングのやり方がわかったとして、

そのチョーキングを繰り返すことにより音高を変化させ

揺らぎを得ます。

特徴としては、

チョーキングというテクニックにより、

弦を引っ張り上げ、弦のテンションを上げるます。

それにより、自然と音程が上がります。

その後弦のテンションを戻すことで、

音程が戻ります。

これを繰り返すことで揺らぎを得る方法です。

つまり、実際の音は

高い音程と、元の音程の二つで構成されるビブラートってことです。

まとめると、

元の音

高い音

の二つで成るビブラートが

チョーキング・ビブラートということです。

音程を上下させるビブラート



チョーキングビブラートが

元の音

高い音

の2つの要素しか持たないのに対して、

こちらは、

元の音

高い音

低い音

の3つの要素からなっています。

実際は高い音と低い音の行き来で

音が揺れることになります。

で、その方法ですが、

弦をネックに対して、

平行に揺らします。

弦をネック側に引っ張ることで音程は上がりますが、

弦をブリッジ側に引っ張ると音程は下がります。

この性質を利用したビブラートになります。

チョーキング・ビブラートが

主にスチール弦のギターで行われるのに対して、

こちらは、

ナイロン弦のギターで行われます。

円を描くビブラート



結論からいって、

上記の2つのチョーキングをミックスしたビブラートになります。

この方法は、

先にも紹介したスティーブ・ヴァイが実践していますが、

あまりメジャーな方法ではありません。

弦をネックに対して、

チョーキングして、

平行に引っ張り、

最初とは逆方向にチョーキングして、

最初とは逆方向に平行に引っ張る。

これの繰り返しです。

結果的に、

指先が円運動をすることになります。

この円運動が独特のビブラート感を出すことになります。

貧乏揺すりではいけない?

さて、ここまで3種類のビブラートを見てきましたが、

ビブラートの要素として、

もう1つありましたよね。

揺らぎのスピードです。

ビブラートになれてくると、

ついつい陥ってしまうのが、

痙攣ビブラートです。

つまり、やたら細かく、

やたら早く揺らしてしまいがちになってしまうってことです。

この原因は、

貧乏ゆすりのように無意識に行ってしまうことにあります。

指癖とも言えるかもしれません。

様々な音楽の1音の揺らぎに注目して聞いてみましょう。

もちろん痙攣でも、

それなりの表現もありますので。

大事なことは意識するということです。



あなたの表現のためのビブラートです。



そこが無意識では勿体ないですよね。

1音で100音を表現するつもりで、

ビブラートを意識してみてください。

それこそ宇宙の波動を感じて(笑)