幻のトレモロ奏法
目次
なぜフラメンコでは5連のトレモロが基本となっているのか。
よく言われるのが、
テクニック的に難しくしたから。
よりゆっくりな曲に適応させたから。
などと言われますが。。
ここに興味深い資料があります。
◆Metodo de Guitarra (Flamenco) por música y cifra
1902年にRafael Marin (ラファエル・マリン)
という人が書いたフラメンコ史上初の
フラメンコ・ギター教則本です。
Metodo de Guitarra (Flamenco) por música y cifra
Rafael Marin (ラファエル・マリン)
史上初のフラメンコ・ギター教則本
1902年に出版された
史上初のフラメンコ・ギター教則本と言われています。
この時代に、シフラと呼ばれる、
いわゆるタブ譜が使用されていること。
また、19世紀のフラメンコ・ギターを知る貴重な資料とも言えます。
19世紀のフラメンコは音源も残されていますので、
照らし合わせることで、より研究することが出来ます。
これらについては、
また別の機会にします。
今回焦点を当てていきたいのは
トレモロ・テクニックです。
この教則本の中の、トレモロの練習の一例を紹介します。
※引用元 Rafael Marin著 Metodo de Guitarra (Flamenco) por música y cifra P62
この教則本では、クラシックに見られる4連譜のトレモロ奏法のみが
おしえられているのですが、
基本のトレモロ奏法の後で、
上記の練習が出てきます。
違いは、親指と人差し指を同時に弾くことで、
より厳密に音を継続して鳴らしている点です。
で、右手の運指に注目していただきたいのですが、
この運指。
フラメンコの5連のトレモロと一緒ですよね。
でも、このフラメンコ・ギター教則本では、
まだ5連符のトレモロは行われていないのです。
この時代、上記のより連続したトレモロが使用されており、
それが訛って現在のフラメンコギターにおける
独特な5連符のトレモロを形成していきました。
この上記の練習。
とても良いトレモロの練習になります。
ぜひこれを参考にして、私たちで、
古い時代に忘れ去られたテクニックを
現代に呼び覚ましていきましょう!