Diminished chordの特殊な用法
目次
A)Tonic diminished
本来I△7(I6)であるchordが、その第3音、第5音を半音下行させる事によって現れたTonic (I) 上に形成されるdiminished chordの事で、MelodyがM.7th、9thの時、最も効果的に用いられます。
これはchordの未解決感と、MelodyとTensionによる未解決感とが一体となって現われるからです。
このM.7th、9thの音はI dim chordではTensionとして現われます。
Tonic diminishedは次にTonic chordへ解決されるべきで和音ですが、稀には解決を省略して独立した和 音として使用される場合もあります。
※-1)このIdim Chordは構造的にはTonic音上に置かれた、VII、又はVn7 chordとも解釈されます。
※-2)dimimshed chordに対するDominant motionは行われないと学んできましたが、この場合は例外として取り扱います。
▪️Tonic Diminishedに於いては Whole Step Up Combination of Diminished Scale が用いられます。
B)Passing diminishedに於ける拡大解釈
minor 7th(b5th) chord へと進行するPassing diminished
Diatonic chordであるminor 7th b5th(half – diminished) chordへ進行するPassing diminished
minor 7th b5th (half -diminished) chordへのPassing diminishedは極めて不安定で解決感に欠ける 為、分類されないと学んできました。
が、次の様な進行例のように、そのminor 7th b5th chordが直後に Dominant 7th chordを伴なってTwo-Fiveを形成している場合、Passing diminishedとして拡大解釈する事が出来ます。
Major Key に於ける
Natural minor に於ける
Harmonic minor に於ける
Melodic minor に於ける
※)melodic minorの第2番目の和音は5度音が5thでありchordもminor 7th chordなので三種類のminor scaleのうち例外的にIIm7 chord にPassing diminishedが成立する。
Melodic minor に於ける
Melodic minor に於ける
※)minor系Two-Fiveは「Majorとminorの交流」によってその解決する調性が上例のごとく常にminor keyに進行するとはかぎりません。
C)Diminished chordに於ける刺繍的用法
あるDiatonicchordが持続する時、そのchordと同じrootのdiminiShedchordに・度移行した後、すぐにもとのchordにもどる様な刺繍的なdiminishedcholdの用法。
この用法が行なわれている箇所をAnalyseする時、Aux.D と表示します。
この時 Diatonic chordが diminished chordの場合、この用法は当然ありえません。
しかし、minor 7th b5th(half-diminished)chordの場合は不可能ではありません。
以上の様にして刺繍的に用いられた diminished chordを新たにある keyの IIdimあるいはbIIIdimと置き換えて connecting diminishedによる転調に応用する事も可能です。
D)予備なきPassing diminished
すでに学んだ5種類の代表的な Passing diminishedに於いては、その最初の Diatonic chordを省略して、予備なくdiminished chordから進行を始める事が考えられます。
これは Passing dimimshedがすでに chord progressionに於いて定形化された進行として定着しているからです。
E)Half Step Up Combination of Diminished
あるDominant 7th chordが b9thのTensionをその構成音に含んだ時、そのrootを除いた上4声(3td、5th、7th、b9th)はdiminished chordを形成するが、この様にして現れたdiminished chord (Lower diminished)にその全音上のTensionからなるもうひとつのdiminished chord (Upper diminished)を組合わせる用法をWhole Step Up Combination of diminishedと呼びます。
上記のLower diminishedと Upper diminishedからなる Scale (B- Whole Step Up Combination of Diminished scale)を本来の Dominant 7th chordの rootから始める事によってすでに学んだ Half Step Up Combination of diminished scaleが現われます。
B-Whole Step Up Combination of Diminished scaleは Ab-Whole Step Up Combination of Diminished scaleに置き換える事ができる。
すなわち、あるDominant 7th Chordに現れるHalf Step Up Combination of diminished Scale とは、そのrootの半音上から始まる Whole Step Up Combination of Diminished scaleと同である事がわかります。