A) Avoid Note
目次
先に学んだTensionは全てchord scale 内に含まれていますが、chord scale内に含まれ、かつchord toneでもTensionでもない音が現われる場合があります。これらはAvoid Note※)と呼ばれます。言い換えるならば、chord scale はChord Tone、Tension、及びAvoid Note、から成り立っていると言えます。
※)Avoid Noteとは「避けるべき音」の意ですが、経過的・感覚的な扱いで現われる場合は避ける必要はありません。
B)Tension と Chord Scale
chord progressionで学んだchord 機能分類表にしたがって各々の和音におけるtension 及び chord scale とその名称をまとめてみると次の様になります。
1) Major Diatonic Chordに於けるChord Scale
a)Tonic
I△7
一般にはIonian scaleが使用されるが1部の Fusion Musicでは #11thを Tensionとして用いる事からLydian scaleが現われます。
I 6
IIIm7
VIm7
b) Sub- Dominant
IV△7
IV6
IIm7
c)Dominant
V7
VIIm7(b5)
Dominant 7th chord については、この他、様々な scale が使用されるのですが、
詳しくはDominan t7th chord のchord scaleの項で取扱います。
Mode と Scale の意味の違い
Major diatonic scaleにおける chord scaleには以上の7種類があり、Mode(教会旋法)と同一の 名称で呼ばれる事からよくModeとScaleの意味が混同されますが、Modeとはmode手法としての理論的基礎 にもとずくmelodic及びharmonic cadenceをもち得るひとつの方法論です。Scaleとはchordに対 するmelody的要素として単に順次的に並べられた音例の事です。
2) minor Diatonic Chord における Chord Scale
minor scaleには natural minor scale、harmonic minor scale、melodic minor scale、の三種類があり、Chord progressionでは Dominant Motion の原則からharmony (和声)の要素を満たす harmonic minor scaleを主体として取扱ってきましたが、この Chord scaleの項ではmelody (旋律) の要素を重視することより、harmonic minor scale に現われる増音程を原則としてさけます。
a)Tonic
minor key の tonic chords のうち、I m△7 を除くIm6、Im7 chord において、一部の Fusion Music では、Mode手法の導入により、Dorian scale が多く用いられる傾向があります。
I m△7
※上記の増音程を避ける原則からchordscaleはmelodic minor scaleが一般的に用いられます。
●I m6
Im7
bIII △7
※一部の Fusion Musicでは Im7 chordにおいて Dorian scale が使用される事から、この bIII△7 chordでは Ionian scaleよりもLydian scaleが用いられる。
bIII△7(#5)
この chordが使用される事は、稀ですが、理論上この2つのscaleが考えられ、更にI m△7で
melodic minor scaleがより多く用いられる事より、上記のmelodic minorから生じるscale。 Lydian #5 scale (Lydian Augmented Scale) が考えられます。
※)これらのscaleに該当する正式な名称はありませんが、例えば Lydian scaleの第5音が半音上った、という意味で、この様に呼ばれたりします。またLydian Augmented Scale とも呼ばれます。
VI m7(b5)
I m7chordにおけるDorian scaleから一部のFusion Musicでは、このVIm7(b5) chordでは Locrian scaleが用いられる。
bVI △7 chordについてはSub-dominant minorの項で取扱います。
d)sub- dominant
IV 7
※)このLydian b7 scale についてはDominant 7th chord の chord scale の項で詳しく取扱います。
一般にはmelodic minor scaleよりLydian b7 scaleが使用されるが、一部の Fusion Musicでは Tonic minorにおいてDorian scaleを使用する事より、Mixo-lydian scaleが現れる。
II m7
※)このscaleに該当する正式な名称はないのですが、例えば Dorian scaleの第2音が半音下がった、また Phrygian scaleの第6音が半音上がった、という意味でこの様な呼び方をされます。
理論的にはMelodic minor scaleよりDorian b2 (Phrygian#6) scale が、また一部のFusion Musicでは Tonic minorにおいてDorian scaleを使用する事よりPhrygian scaleが現れるが、 IIm7 chordが Two-Fiveの形で使用される時は、その調性のいかんにかかわらず原則としてDorian scaleが用いられる。
c)sub- dominant minor
IV m7
II m7(b5)
※)本来 minor key に現われる IIm7(b5) が Majo rkey に借用使用される時、この様なscaleが現われます。
bVI △7
bVII 7
※)このbVII 7は Major keyに借用使用される事も多く、その場合はLydian b7 scaleが用いられる。
d)Dominant
V7
minor key において、Dominant 7th chord は通常 V7(b9) の形で用いられる事はすでに学んだが、 この時、使用されるのはharmonic minor perfect 5th below (down) scaleと呼ばれ、例外的に増2度音程を含むharmonic minor scaleを指向している。これは V7(b9) chord がすでにその構成音に増音程を内含しているからです。このscaleについてもDominant 7th chord scaleの項で詳しく取扱います。
minor key のDominant 7th chord に melodic minor scale をあてはめるとこの様な scaleも考えられますが、ここではTension が 9thであり V7(b9) のchord表示にはあてはまりません。
Vm7
一般にはnatural minor scale より、Phrygian scale が使用されますが、一部の Fusion Musicでは Tonic minorにおいてDorian scaleを使用する事より、Aeolian scale が現れます。
minor key においてこの chord が用いられる事は稀で、通常 V7 系 chord が使用されますが、 Modalなminor keyにおいては解決感を必要としないため、Vm7 chord が用いられます。
VII m7(b5)
VIIm7(b5) chordは mino rkeyにおいては melodic minor scale上の第7番目の和音として現われ、 使用されるscaleとしては上記のものが考えられるが、実際にこの和音がDominant 7th chord の省略 形(代理和音)として使用される事は極めて稀である。Super Locrian Scale とも呼ばれます。また、このScaleがDominant 7 th 上で使用された時、Alterd Scale と呼ばれる事となりますが、詳しくはDominant 7th Chord における Chord Scale の項で取扱います。
VII dim
VIIdim chordはharmonic minor scale上の第7番目の和音として現れ、本来 V7(b9) chordの根音省略形であり、独立したdiminished chordとは考えられず、また、Tensionもdiminished chordのTensionではなく、上記のharmonic minor scaleから生じるTensionが考えられます。この和音もまた、実際に使用される事は極めて稀といえます。
※)しかしながらこのchordを独立したdiminished chordと解釈する場合もあり、その時は全音上のdiminished chordがTensionとして使用され、scaleもWhole Step Up Combination of diminished scale(Diminishe Scale) が考えられます。また、Tensionとされた全音上の diminished scale noteのうち、その属する調性のdiatonic scaleに一致する音だけをTensionとする考え方もあります。
3) Non- Diatonic Chord における Chord Scale
a)Tonic
これまでに、Major keyの Tonic chord の代理和音として特殊な I 7 chordは分類されない、と学んできましたが、chord scaleにおいてもこれに従って分類しません。また minor keyにおける Tonic chord の代理和音も分類されていません。
b)Sub-dominamt
IV7
IV 7 は、Major key において本来 IV△7 chordであるはずの和音のM.7th音が、m.7th音に変化したchord と解釈出来る事から本来のLydian scale の第7番目の音が半音下がった Lydian b7 scale が考えられます。 また以前の項でふれた様に、この和音が「Blues」に於けるsub-dominant chordとして現われた時、Bluesy 7th chordとして分類しその chord scaleは「Bluesにおける scale」の項で取扱うこととします。 minor keyにおいては、 IV7 chord はdiatonic chordとしてすでに分類されています。
VII 7
VII 7 の場合、実際にはAltered (dominant) scaleが多く持ちいられ、この時、5と#11が同時に現れます。 このAltered scaleについてはDominant 7th chord のchord scaleの項で詳しく取扱います。
#IV m7(b5)
c)Sub- dominant minor
bII △7
bVI 7
bVI 7 は、minor keyに現われるbVI △7 chordの M.7th 音が m.7th 音に変化した和音と解釈出来ます。
また「Blues」に於けるBluesy 7th chordとしても分類出来ますが、その時のchord scaleは「Blues におけるscale」の項で取扱うこととします。
d)Dominant
bII 7